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徒然草気まま読み#162
『ある貴族の逸話』
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今回扱うのは、第百九十六段。
前半部分を紹介すると…
東大寺の神輿(しんよ)、東寺の若宮より歸座のとき、源氏の公卿參られけるに、この殿大將(たいしゃう)にて、先を追はれけるを、土御門相國、「社頭にて警蹕いかゞはべるべからむ。」と申されければ、「隨身のふるまひは、兵仗の家が知る事に候。」とばかり答へ給ひけり。
前段の百九十五段にも登場する、久我通基内大臣の逸話。
最初に出てくる「東大寺」は石清水八幡宮の誤り。
この時代の「神輿(しんよ)」とは
いまのお神輿(みこし)とは性格が異なるものなのだが、
これを移動させる際、これに伴う神事について
通基と別の貴族、土御門相國定實公の間で意見が分かれた。
当時の貴族の教養や、神についての観念などが
うかがえる、興味深い一段。
長らくお楽しみいただいた
『徒然草気まま読み』は、
次回配信が最終回となります!